FERRARI F40 リアセクション補強・タービン交換 他
鋼管スペースフレームで成り立つF40の、リアセクションを大幅に補強した事例を紹介いたします。
極上のF40を手に入れられたオーナーさんは、走行中のリア周りの剛性不足を気にされて来店されました。
弊社でも構造を把握した後に試乗させていただいた結果、大掛かりな補強とリフレッシュを行うことになりました。

巨大なカーボンケブラー製リアカウルを取り外し、エンジン・ミッション・サスペンションを丸ごと降ろします。
外したカウルだけでもう一台分のスペースを取る事は大誤算でした(笑

純正ではナナメ1本しか入っていない、サスペンションタワーとルーフフレームを結ぶバーは、F40 LMに倣ってクロスに製作しなおします。
取付のブラケットに至るまで元々ある片方の形状・寸法を守り、一見LM純正のようなノーマル然とした仕上がりを目指します。
エンジン・ミッションを支えるフロアフレームにも、写真のようにガセットを追加してねじれやたわみを減らすべく作業の計画を練っていきます。

鋼管と鋼管のコーナー部分にも、クロモリ鋼板で補強を入れていきます。

ただし、計画を練っている段階から分かっていたことですがスペース的にけっこう厳しく、補強部位の形状などは慎重に干渉をチェックしながらの作業となります。
このリアセクションの補強では、純正の溶接箇所との兼ね合いや仕上がりの点でTIG溶接で行いました。

純正タービンも快調に動いていましたが、今回さらにスムースなエンジンパワーを手に入れるべく、IHI製ターボチャージャーに交換しました。
オーナーさんから要望するイメージを色々な角度でお聞きし、RX-6のTCW15をノーマルECUのままで装着し、市販のブーストコントローラーで制御することにしました。

ついでというわけではありませんが、熱害によって劣化し始めていた遮熱素材をすべて張り替えます。今回はせっかくなのでレーシングカーにも使われる薄いフィルムを使用しました。

非常に高価なのと、伸縮性が無いために張り込みが大変なのが玉に傷ですが、1000度以上の輻射熱に耐えられる上、放射線もカットできるというオマケつき(笑)な素材です。

写真のように、すべての部分で型紙を作ってからカットして貼り付けて、最後にヒートガンで粘着質を熱硬化させなければなりません。
ヒートガンではあまりに時間がかかりすぎて、とうとうガストーチであぶるという暴挙に出ていますが、ちゃんとできました^_^;